*恋の味[上]*【完】


「よーい!」

“ピー”

笛のなる音と共に、男子は目の色を変えて走る。

なんとゆーか…単純。

今のところ、トップを走るのは……千年くん。

だんとつ1位……。

ええっと…暁くんは……ん?……いない?!

私は辺りを見渡してみると……いたいた。どこにって?見学。


「ちーくん頑張れー!」

千年くん人気〜!ヒューヒューって言いたい。

ってか、応援していいのか?女子。

「はい、千年ゴール!」

あ、終わっちゃった。

うん、あまり意味のない1位でしたね。

「アリもーん!俺、あさちゃんと実行委員だよねー?」

あさちゃん?あさちゃんあさちゃん……あ、私か。

……ぐふふ、可愛いあだ名。

「ん?変えるわけないだろう。あれは決定事項だ」

「えぇぇ?!だってアリもん、あさちゃんとさせてくれるって言ったじゃん!」

「ん?あれか。俺は最後に「かもな」って言ったぞ?」

「俺きいてないし!」

「言った。なぁ?桜野」

え?!私?!

「えっ………あっと……」

「ほらな?」

「戸惑ってんじゃん」

「そうか?」

「そうだろ!あー俺の努力がー!」

アリもん……やはり鬼だ。


< 29 / 260 >

この作品をシェア

pagetop