*恋の味[上]*【完】


保健室に行く途中……

「あっ!あさちゃんにゆっちゃん!………ゆっちゃん大丈夫?」


現れたのは………暁と千年くん。


「………多分………保健室………いってくる」

あまり喋りたくなさそう。

「先生にいっといてくれる?」


都合よく現れたんだもんね!

「おう!任せろ!」


千年くん……頼りになる〜。

「おい、松川。コレ買ったばっかで冷めてぇからやるよ」

由良に水をさしだす。でた“いろはす”。


……………モヤモヤする。

なんで?なんか胸がモゾモゾする。


仕方ないじゃん、貧血になっちゃったんだし。


むかつく………。


「?どうした」

暁が心配してくれたのか、うつむいてる私の顔を覗きこんだとき……


“ドンッ”


…………………。

あ………。やっ…ちゃった。突きとばしちゃった。


どうしよ…暁は悪くないのに!


「ら、雷斗!えっと……行こうぜ?……ゆっちゃん…お大事に」

由良も貧血なのに、目をぱちぱちしてる。

焦る私。庇う千年くん。驚いて言葉もでない由良。……一見不機嫌そうだけど、どこか寂しそうな表情をする…暁。


もうやだ……。


私は、とっさに駆け出した。


「あっ、真麻!」

由良の声、聞こえたけど聞こえないフリをした。


“ドンッ”

今度はぶつかった。

「いったぁぁ!もー……って桜野さん……」

ぶつかった相手はアカリだった。

驚くのも当然。

私は……きっと目に涙を溜めてるから……。


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