*恋の味[上]*【完】
お見舞い
お母さんに会うのはー……春休みからだから、ずいぶん会ってない。
酷い娘だよね。
だって、テンション高いから疲れるんだもん。
とか、思いつつ病院に入った。
……相変わらず変わってないな。当たり前だけどね。
「あれ?桜野さんのとこの真麻ちゃんじゃない!あら〜更に可愛いくなっちゃって!もー、モテモテでしょー?いいわねー。若いうちにバカンスしとくもんよ!おばちゃん、この年だから女磨きなんてしても、厚化粧になっちゃう」
でたー。病院の看護師さん、みんなマシンガントークなの。
「あははは……全然ですよ!」
いろんな意味を込めて……。
「久しぶりねぇ〜。あ、お見舞いよね?桜野さん、病室変わったのよ〜。ええっとー……605号室よ!」
あ、変わったんだ。
えー、前402号室だったのにー。
でも、教えてくださったんだし、お礼いわないと!
「ありがとうございます」
「いえいえ。偉いねぇ」
「全くですよ!」
偉いらしいわ、私。
「あ、私そろそろ戻らないと!真麻ちゃん!またね!」
「え、あ、はい。失礼します」
嵐が去っていく……。
あー!疲れた!これから、もっと疲れるのに……体がもつか不安。