*恋の味[上]*【完】
「あ、テストはどうなの?」
「テストね、学年末しかないんだって。1位だから大丈夫だよ」
「そう……。ごめんね、こんな体で。生活費だって、おばあちゃんからの送りで。情けない」
お母さん……。
「仕方ないよ。私も頑張るから。お母さんも頑張って!」
私は、決して我が儘を言ってはいけない。
「ありがとね。真麻」
「うん」
やっぱ親子だなって思う。
めんどくさいし、五月蝿いけど、いつも周りを気にかけて、笑顔溢れるお母さん。
お母さんいると、周りが明るくなるもんなぁ。
「さっ!一緒にケーキ食べるよ!」
「は?私の話きいてた?」
「聞いてたわよ」
じゃあなんで――……
「親子、一緒に食べた方がおいしいでしょ?」
………もう、適わないなぁ。
「一個だけね」
「ふふふ」