*恋の味[上]*【完】
1人で砂場に座って絵を書いてると……
「ねぇ、1人?…って、めっちゃ可愛いじゃん!」
ツンツン金髪ヘアーの黒人さん。日サロか日焼けしたから黒人なんだろう。
ま、1人ですよ。で、不細工ですよ。
「1人じゃないんで」
嘘。1人だけど、こんな気持ち悪いお兄さんと一緒にいたくないし。
「1人じゃーん。俺と遊ばない?」
「遊ばない」
鏡みた方がいいよ。あ、鏡に嫌われてるから自分の顔、見せてもらえないんだ。
「んな冷たいこといわないでさ〜。俺、友達にほったらかしにされてんだよねぇ。可哀想だと思わねぇ?」
うわ、自分のこと可哀想とか言ってるし。キモッ。
「だからさぁ〜、遊ぼ〜?」
「無理」
無理なもんわ無理。しつこいなぁ。
「あのさぁ、あんま生意気な口きいてると痛い目あうよ?」
「だから、無理なんだって」
早くどっかいって。シッシッ!
「無理矢理つれていかれてぇの?」
「行かない」
無理矢理もなんも、行きたくないんだし。
鬱陶しいにも程がある。
すると、腕をつかまれた。
「いっ!離して!」
「チッ、騒ぐんじゃねぇよ」
入学式のときと一緒。
怖い。
「お前さぁ、俺の女に何してんの?」
―――?!
「ら……いと……」
そこには、息を切らした雷斗がいた。
「なんだぁお前?」
「触んなっつってんだよ」
「彼氏もちかよ」
ツンツンくんは私の腕を離すと、去っていった。
なんで……なんでくんの?
ハーレムしとけばいいじゃん。