4月の雪は溶けなかった
あたしのこのセリフには、もう二つ意味が含まれていた。
ひとつは、彼女がいるかどうかの確認。
いたら諦めようと思って。
もうひとつは、少しでもオンナとして見て欲しいという願いを込めて。
ドキドキしながらせんせーを見ると、せんせーは微笑んでいた。
「俺、彼女いないよ…。」
ちょっとだけ微笑みから切なげな顔に変わってしまった。
「そうなんですか…。なんかすいません…。」
「ははっ、そんな申し訳なさそうな顔しなくて良いって!!で、どうする?っていうかもう送ってくわ!!まあどうせ歩きですけどねー。」
あたしたちは歩き始めた。
じめじめとしたなま暖かい風がなぜか心地良い。