4月の雪は溶けなかった
てくてくてくてく…
車が多い駅前通りはうるさいけど、あたしたちの間には妙な静けさが漂う。
せんせーの半歩後ろから、あたしはせんせーの後ろ姿を見つめる。
こんなに近くにいるのに、その背中はなんだか遠い。
手が届かない。
「…うえ?井上!?」
いつの間にかせんせーが振り返り気味であたしを呼んでいた。
「え!?は、はい!?」
「どうしたんだ?急に静かになって。いつもはもっと喋るのになあ。」
「せんせー!!それっていつもはうるさいってことですか!?」
「さあどうでしょう〜?ははっ」
「せんせーひどいし!!はははっ!!」
せんせーのこと考えてたって言いたい。
言えないけど、とてもとても言いたい。