4月の雪は溶けなかった



「…久しぶりだね、悠希。………全然変わってないね。」



「…うん、まあね……」



「悠希と会うの、いつぶり?」



「……もう1年以上前かな…」



「悠希ってさ、………」





さっきから悠希、悠希ってうるさい。



目の前にはあたしがいるのに。





あたしはグラスの水を一気に飲んで、トイレに行った。





せんせーとあの女を2人たけにするのは良い気分はしなかったけど、今のあたしにとってあの場にいる方が気分が悪かった。






一人きりのトイレでふと鏡を見るといつもとは全く違う姿のあたし。


なんだか切ない。虚しい。

もう見慣れたはずなのに。



心と身体が離れているような、変な心地がした。






泣きたいとか、苛つくとか、そういうのとは違う。






自分の心情がよく解らなくなってきたので、鏡から目を反らし、すぐにトイレを出た。







まだ女はいる。








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