4月の雪は溶けなかった
あたしは何も言わずに静かに座った。
女は私が戻って来たのに気づいていないようにずっと話している。
せんせーにキャッキャと話しかけている。
耳障りな声、華やかなオーラから逃れたくてあたしはケータイを開いた。
特に見たいサイトはないのに。
ふとあたしはせんせーの表情が気になって、わからないようにチラッとケータイの画面から顔を上げた。
せんせーは、下唇を軽く噛んだり、机を右手でピアノを弾くみたいにトントンしたりしていた。
この仕草は気まずい時にする仕草。
あたしには、分かる。