4月の雪は溶けなかった




あたしのほんの些細な優越感に気づくわけもなく、女は頑張ってペラペラとせんせーに話している。




―――まるでまだ自分はあなたを愛していると言うように。




いや、まるで、ではない。
この人はまだ、きっとせんせーと別れてからもずっとせんせーのことを思い続けている。




本当にせんせーと離れたくない、せんせーのことが大好きなんだという気持ちが高校生のあたしにも手にとるように分かる。





そんなことを考えながら、あたしはもう一度せんせーの方を見た。






せんせーと目が合った。


せんせーはあたしを見ていたようだ。




あたしと目が合って2秒後、さっきから女の話に相づちを打つだけだったせんせーが口を開いた。







すると、ここに来てからずっとペラペラ喋っていた女が、静かになった。







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