4月の雪は溶けなかった
「………」
「………」
歩いている間、あたしたちは何も話さない。
ただ、せんせーはあたしの左手をずっと、しっかりと握っていた。
あたしもこの手を握り返した。
しばらく歩いて、せんせーが小さな声を出した。
「…今日はごめんな。もう帰ろうか。」
「………うん。」
せんせーはあたしを家に送ってくれた。
黙って、静かに。
帰り道、あたしとせんせーの間にあるのは、いつもより強く握られた手と手だけだった。