4月の雪は溶けなかった
「はい、じゃあ今日は前回の続きからで―――」
せんせーはいつも通りの授業を始めた。
多分、いや絶対にせんせーの“違い”に気づいたのはあたしだけだろう。
声のトーンも、話す速さも、顔の表情も、授業の展開も、全ていつもと変わらない。
ただ、あたしと目を合わすことは1度も、一瞬もなかった。
大きな疑問や不安や違和感でだんだん頭の中が埋め尽くされていき、気がついたら授業も残りあと5分になっていた。