4月の雪は溶けなかった
「瑞希、あのさ…」
久しぶりにあたしを呼ぶその声に、思わず目を潤ませてしまう。
でもぐっと堪えて続きを待つ。
「しばらく離れててごめん。電話もメールもせずに、瑞希のこと避けてて…」
本当に申し訳なさそうに話すせんせーに、あたしは黙ってううん、とそっと首を振った。
「実は、俺は戦ってたんだ、ある人と…」
せんせーは、分かりやすいように、そして変な誤解を招かないように、丁寧にあたしに説明してくれた。
あたしも真剣に、静かに聞いた。