4月の雪は溶けなかった
その元カノと別れたのはあたしと付き合い始める少し前だったらしい。
後半はせんせーの気持ちはあたしの方にほとんど傾いていたらしいけど…
計算すると、つじつまはちゃんと合うには合う。
でもせんせーには覚えがなかった。
ちゃんと必ず避妊していたからだ。
でも、元カノは絶対せんせーの子どもだと言い張る。
何を言っても引かない元カノに、もう夜遅いからという理由で帰ってもらったけど、次の日もその次の日もしつこかったらしい。
ところが否定しても、違うと言っても迫って来る元カノに悩まされていたある日、買い物中にせんせーはあり得ない光景を目にする。
それは元カノと、腕を組みながら歩く男の姿だった。
せんせーはすぐに二人に、元カノに問いただした。
最初は何も言わなかったけど、ついに真実を吐いたらしい。
“お腹の子どもはせんせーと別れてすぐに付き合い始めた今の彼氏との子ども”
“せんせーに振られたことでプライドが傷つき、さらに新しい彼女がいることを知ってその関係を壊したかった”
せんせーは怒りよりただ呆れを感じ、もう一切関わるなとだけ言って立ち去ったらしい。
それで、今に至る。
「本当にごめん。」
「待っててくれてありがとう。」
全て話し終えると、せんせーはあたしの頭を優しく撫でた。