4月の雪は溶けなかった
久しぶりの声
久しぶりの手のひら
久しぶりの香り
大好きなせんせーに“包まれる”この感覚。
「………悠希…」
「!………瑞希が初めてちゃんと俺の名前呼んだ!!」
せんせーは驚いて、それからすぐに嬉しそうに笑って、あたしを抱きしめてくれた。
あたしが呼んだ“悠希”には“大好き”っていう意味が込めてあった。
あたしの性格上、好き、なんて告白の時ぐらいしか言わないから。
せんせーに抱きしめられながら、せんせーからの“大好き”も伝わってきたような気がした。
それから、せんせーはそっとあたしの唇に口づけをくれた。