4月の雪は溶けなかった
「おじゃましまーす」
玄関に入るやいなや、せんせーに抱きしめられた。
「本当、おめでとう。」
「ありがとう。昨日も言ったけど、せんせーのおかげだよ?」
「瑞希が頑張ったからだよ。」
せんせーは優しく頭を撫でてくれた。
「ミルクティー、飲む?」
せんせーはあたしの手を引いて、リビングに連れて来た。
なんだか、いつもより優しい気がする。
甘い紅茶を飲みながら、他愛ない話を楽しんだ。
「せんせー?」
「ん?」
少し改まって、しっかり目をみて呼ぶと、優しく応えてくれた。
「本当にありがとう。せんせーがいてくれたから頑張れたんだよ。」
ちょっと照れてしまったけど、しっかり伝えた。絶対言いたかったから。
「瑞希…」
せんせーは、あたしにゆっくり口づけた。
2回目の、キス。
でも、前と違って次第に深くなっていく。
何も考えられないぐらい、頭の中がせんせーでいっぱいになった。
「悠貴…」
優しい時間が流れている。