4月の雪は溶けなかった
初春のエピローグ




『只今から、平成ΟΟ年度、卒業証書授与式を行います』




厳粛な雰囲気に、どこかせつない空気の漂うなか、卒業式が始まった。




みんないつもよりきっちりしていて、緊張の面持ちだ。






式は結構淡々と終わり、最後のホームルームのために教室に向かった。





担任の先生の最後の話が始まると、教室のなかに鼻をすする音が増え始めた。



あたしも、泣いた。



みんなとの楽しい思い出や嬉しかった出来事。



文化祭、体育祭、クラスマッチ、修学旅行、休憩時間のお喋り、放課後のばか騒ぎ。




あっという間に過ぎていった3年間は、これからも時々思い出すことになりそうだ。








考え出すと、涙が一粒、また一粒と零れてく。






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