4月の雪は溶けなかった


ある日の放課後、あたしは質問をしにせんせーのところへ行った。



質問は自然に生まれたのではなく、せんせーに会いたいというだけで無理矢理に作った。





「失礼します。中野先生いらっしゃいますか?」



「お、井上質問か?」




せんせーは給湯室にいたらしく、湯気の立つマグカップを持ってあたしのところに来た。




「はい!!この和歌の訳がよくわからなくて…」



あたしはノートを見せた。



「…なるほど、単語とか助動詞とかは調べたんだな。」



「はい、でも繋げ方がよくわからないんです。」



「なんとなくこの和歌のニュアンスはわかった?」



「うーん、恋を詠んだ歌だろうな〜っていうのはわかるんですが…」


「そうそう、確かに恋を詠んだ歌だよ。」









< 6 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop