キミを求めて
ゆき乃。

ゆき乃は、雪乃の代わりだった。

突然の死に耐え切れず、自分の欲望の赴くまま作り上げたのだ。

そう。私は、人として越えてはならない一線を越え、この手で一つの生命(いのち)を生成した。

許されざることだと認識していても、こんな状況下におかれている現在(いま)も後悔はしていない。

ゆき乃がいなければ、私は今ここにいないから。

ゆき乃がいてくれるからこそ、私は生きていられる。

いつの頃からか、ゆき乃は雪乃ではなくなった。

『雪乃』という女性の面影を残した、『ゆき乃』という別人であると認識するようになった。

姿形がどれほど思い出に重なっても、『ゆき乃』は『ゆき乃』なのだと。

そう思えるようになった時には、もう遅かった。

私は、ゆき乃を愛していた。

禁忌の所業からの誕生と父娘という親子関係。

二重の螺旋が日ごと私を締め付けてゆく。

鬱々と溜まっていく黒い欲望を昇華させるためには、自ら慰めるしかなかった。

他人から眉をひそめ、目を背けられるようなことを想像し、欲望を吐き出す。

気づけば、そうすることでしか父親としての自分は保てなくなっていた。
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