キミを求めて
幼い頃は、一緒によく買い物に来ていた。

その頃のパパは、一切の残業や休日出勤を断って、本当に私を中心とした生活をしていた。

私が風邪をひけば、仕事を休んだりもしていた。

幼心に『このままじゃいけない』と思った。

大好きなパパを少しでも支えたいと。

ただ守られる存在では無く、一緒に歩んで行きたいと。

少しずつ家事を覚え、今では一通りの事を熟(こな)せるようになった。


家に着いた私は、買ってきた物を片付け、洗濯物を畳み、クローゼットにしまい込む。

部屋に行って制服を着替えると、エプロンを付け、夕飯の準備に取り掛かる。

(確か、今日は早いって言ってたよね)

たまに舞い込む急な仕事が入ってこない事を願いながら料理をしていると、インターフォンが鳴る。

時計を見上げ、いつもより少し早めの帰宅を悟り、足早に玄関に向かう。

鍵を開けることさえもどかしく感じながら、手早くドアを開く。

「お帰りなさい」

相手も見ず、目の前の人に抱き着く。

「ただいま」

私の大好きな声が優しく応えた。
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