キミを求めて

回想

「ただいま」

ドアを開けた途端、抱き着いて来たゆき乃に少し驚きながら、優しく告げた。

私の胸に埋めた顔を上げると満面の笑み。

「今日も遅くなったらどうしようって」

「昨日は、たまたまじゃ無いか」

「でも、今朝だって早かったから、顔さえ合わせて無いもの」

ゆき乃は頬を膨らませる。

(こうやって拗ねる姿はそっくりだな)

マジマジと見つめる私を不思議に思ったのか、目を丸くさせ、無言で『何』と聞いてくる。

「改めて見てウチの娘は可愛いなぁと」

笑いながら答えると更に目を丸くさせ、頬を染める。

「もうっ!冗談ばっかり」

そう言うと、ゆき乃は背中に回していた腕をパッと解き、背を向ける。

「もうすぐ御飯出来るから、早く着替えて来て下さいね」

そして、キッチンへとパタパタと音を立てて行く。

(あんなところもソックリだな)
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