あんな。めっちゃ、だいすきです。
アヤちんに背中押されて、玄関に飛び出す。
さっぺが投げてくれたカバン受け取ると、ウチの足は真っ先にマンションの下へ向かってた。
アヤちんごめん、マクラは今度引き取りに来るから。
サンダルが立てる忙しい音。
走り降りてくるウチに、いっちゃんが笑いかける。
「はやいな。誕生会、楽しかった?」
「うん!えっとなぁ、ケーキ食べとった!あとマンガ…」
「やっぱりな。前髪、ちょんまげのまんまやで」
そう言っていっちゃんは、ウチの前髪についてたゴムを取る。
ふんわり降りてきた前髪が、ウチのオデコを隠す。
「っていうかいっちゃんなんで?今日──」
「今日バイトはよ上がらせてもらえてん。アヤちゃんの家帰り道にあるし、みとも拾ってかえろかなって。たまには夜ドライブでも…」
「するっ!!」
「はは、返事早いな。ん。」
いっちゃんはウチにヘルメットをすぽって被せて、ベルトをしめてくれる。
しめ終わって、ウチの頭をポン、てたたいた。
「後ろ乗りぃ」
あかん。
…どうしよう、嬉しい。