あんな。めっちゃ、だいすきです。
いっちゃんと、ちょうど同時に声がかぶった。
いっちゃんが笑う。
手のひらの下の、肩がふるえる。
なんか嬉しくて。
めっちゃ、楽しくて。
肩をつかんでた手を放して、いっちゃんのお腹にぎゅうっと巻きついた。
いっちゃんのバイクに初めて乗ったときは、ちょっと怖くてめっちゃ肩に力入って。
いっちゃんのベルトになったみたいに、必死にすがりついとったなぁ。
今はもう手ぇはなしとっても余裕。
…でもそれはなんかちょっとさみしいから、放したりせぇへんけど。
もう、いちねんと、はんとし。
「みとも、着いたで」
鼻先に触れる風がゆっくりになっていって、バイクが止まった。
山の途中にある駐車場。
真っ暗な中に、ぽつんと自動販売機だけが光ってる。
「なに、ここ…」
「そこの階段上がったらなぁ、でっかいグラウンドあんねん。」
グラウンド?…野球の?