あんな。めっちゃ、だいすきです。
はい、て差し出された手をとりあえず握って。
いっちゃんにひっぱられながら階段を昇る。
「この前なぁ、ソフトの試合ここでやってんか」
「へぇ、」
「そん時帰るんだいぶおそなってなぁ」
「…そう、なん、や…っ!!」
「…こんくらいで息切れしとったあかんで、みとも」
…いや、けっこうしんどいで?これ。
いっちゃんはソフトのサークルに入っとるから体動かす機会あるけど、ウチは無いもん。
残り、あと7段。
ろく、ごー、よん、さん、
にー、いち……
「し…しんどい…」
「みとも、後ろ見て。」
「え、うし…ろ…」
いっちゃんが指さした先。
振り返ったら、目の前がチカチカした。
それはめまいとかやなくて、ほんとの、ほんとに。
「うわ……」
チカチカ、キラキラ。
広がる景色は日常から切り取られたみたいな街並みで。
光る粒をまとった、夜の街。