あんな。めっちゃ、だいすきです。


バシッといっちゃんの太ももを叩くと、いっちゃんがちょっと笑った。



「いや、だってひやかしちゃうもん。本気やもん」

「へ?」

「今みとものマンションに転がり込んでる状態やん、おれ。」

「…う…うん」

「来年からふたりとも就職やしさ、」



そう言っていっちゃんは、ふともも叩いた方の手の指を軽くつまんだ。


中指。

指輪のはまった、ゆび。



「みともと、ちゃんと改めて新しい家探して、住みたいなって。」

「あたらめ、て…?」

「うん。だってこれからもずっと一緒おるやろ?」



えっと……



………え?



「お待たせしました!」



口をあんぐりと開けるあたしに、戻ってきてにっこりと笑いかけるお姉さん。


目の前の机に、3枚ほど紙を並べてくれる。



「条件を満たした物件でおすすめのものだと…このあたりですかね?」



四角い長方形の箱。

描かれているのは見取り図みたいなもの。


うわぁ、いっちゃん、めっちゃ目ぇキラキラさせて見てるし…。


クリスマスの朝、サンタさんからのプレゼント発見したときの子どもみたいや。


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