あんな。めっちゃ、だいすきです。
反射神経。運動神経の差。
…めっちゃ笑てるしいっちゃん。
むかつくし、いっちゃん。
「嘘やん。それに俺、ぽっちゃりのが好きやで?」
「やせるっ!骨の髄からやせてやるから!!」
「はは、それ骨粗鬆症やんけ」
暴れるけど、あいかわらず手首はつかまれたまま。
ふと、いっちゃんが息つぎをして、まっすぐこっちを見た。
「みとも、携帯見て」
「え?」
「今何時?」
「えっとな…、0時2分!」
そう言って顔をあげた瞬間に、キスされた。
いっちゃんの髪が、ちくっておでこにささる。
近くで目があって、いっちゃんの目玉の中に、ぽけーってしたまぬけな顔が映ってて。
「…1年6か月、おめでとう。」
…そっか。もう、"今日"になったんや。
いっちゃんとウチが付き合い始めてから、1年と6か月。
覚えててくれたんや、いっちゃん。
いっちゃんが笑ったら、空気が震えた。
目下の光の粒たちも、ゆらゆらと定まりなくゆれている。
ルビー。サファイア。ダイヤモンド。
夜景は、宝石みたいにキラキラしてて。