あんな。めっちゃ、だいすきです。
…さぁて、帰ってくるまでにバッチリ準備しとこか!
そう思ってカギを閉めようとした、その時。
「わり、忘れもんしとった」
いきなりガチャッと開いたドアから顔をのぞかせたのは、出ていったばかりのいっちゃんで。
「へ。忘れ物、て────!?」
いっちゃんの手が伸びてきて、ウチの腕をつかむ。
そのままグッと引きつけられて、唇を奪われた。
ポカンとするウチに、ひとこと。
「行ってきます、のチュー。」
そう言っていたずらっ子みたいな顔で笑う。
…忘れモン、てそれかいな。
しかもコンビニて、5分かからんで帰ってこれる距離なんですけど。
アイスも溶けへんし、肉まんも冷めへん。
いっちゃんは、なんていうか。
…甘やかすんも、甘えるんもすきなんやと思う。
好き、とか、ためらいなく言うてくれるし。愛情表現がストレートっていうんかな。
でも大学の友達が見たらビックリするで。神崎くんとか。
だって他の人の前ではあまったるーいオーラとかいっさい出さへん。
爽やか硬派キャラやねんもん、いっちゃん。サギやで。