あんな。めっちゃ、だいすきです。
「………」
いっちゃんがまだウチの手を握ってるもんやから、恥ずかしいけどウチからも背伸びをして。
いってらっしゃいのチュー。
軽いやつをひとつ。
──その、瞬間やった。
わりと近くから、ドサッ!!と何かが落ちる鈍い音がしたのは。
「………え?」
玄関の向こうに、おそるおそる視線をやれば。
「な…な、んで……」
なんで。も、そりゃもう、最大級のなんで?や。
だって。
そこにはヨレヨレのポロシャツを着た中年男。
顔面を蒼白にして、わなわなと震える……
「み……みとも……っ!!」
…おとうさんが、立っていた。