あんな。めっちゃ、だいすきです。





……一体なんやねん、この図は。



向かいにはいっちゃん。

左斜めにはおとさん。



…つまり、ウチのおとうさんを挟んで夕飯が並んだ机を囲ってる。


「………」

「………」

「………」

「………」



席についてから、終始無言。


話せるわけない。

だって実の親にあんな場面見られるなんて、恥ずかしくて死ねる。


いっちゃんもものごっつ気まずそうに縮こまってるし…。



っていうか、ほんま、誰かこの状況を説明してください。



「…あのさぁ」

「…ハイ」

「今日来るなんて、聞いてないんやけど…」



ちなみにおとうさんが下宿先に来たことなんて、引越しの時以来1回もなかった。


やのにこんな連絡もなしに突撃訪問なんて、一体なにごと。


ウチの作る節約料理のコロッケの、ひき肉とジャガイモの割合が逆転するくらいありえへんことやで。



「………」



やのにおとうさんはうつむいて、始終黙ったまんま。


重たい空気が食卓に流れる。



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