あんな。めっちゃ、だいすきです。
低い声でそう言ったら、また黙ってしもたおとうさん。
またイライラがこみあげてって、でも次の瞬間。
そのイライラが全部ふっとんでまうことを、おとうさんが口にしてん。
「いや、あの…」
「なに!?」
「…おかーさん、出ていっちゃいました。」
………えーと。
「〜はぁぁっ!?」
出ていっちゃいました、て。
え?なに?どういうこと。何を言うてんの?
めっちゃおっきい声出してもた。
窓開けてなくてよかった、苦情くるとこやった。
おとうさんは心もとなさそうに、ボソボソとしゃべり続ける。
「…ここに、みともの下宿先に来たのも、こっちにおかあさんおるかも、と思って…」
「いや、な、なんで!?なんでおかあさんおらんなったん!?」
「会社クビになったの、言い出せんくて…」
「ええぇぇぇっ!?」
大声、本日2回目。
「り…リストラってこと!?いつクビになったん!?」
「1か月前…」
「い…!?ほ、ほなその月の給料どうしてたん!?」
「いや…退職金でなんとか…」
…ごまかしたってことか。
っていうか、って、いうか!!