あんな。めっちゃ、だいすきです。


おとうさんはウチの顔といっちゃんの顔を交互に見て、どうしたらええかわからへん様子。



「もしふたりで話すんやったら僕はファミレスとか行っとくんで───」

「いっちゃんはここにおって!」

「……ハイ」



大人しくしょぼーんと座ってる男性陣を見て、しぶしぶ肩の力を抜く。


台所に向かうと、どんぶりのおわんを取り出して、炊飯器からごはんをたっぷりついだ。

お茶碗2つしかないねんもん。


それをおとうさんの前に置くと、無言で自分の分のコロッケをひとつ、上にどーんとのっける。びゅっとソースをかけて。


──はい、コロッケ炊き込みご飯丼の完成!!



「いただきますっ!!」



せっかく作っただいすきなコロッケとたきこみごはんやのに、ゆっくり味わうことなく食べた。


イライラしとったら、やっぱりごはんもおいしくないねんな。


ひととおりかきこんだ後、もう1回念のため実家に電話してみた。



…やっぱり出ぇへん。



おかあさん、一体どこいったんやろ…。


今まで出て行ったことなんかなかったし、愚痴言いながらも、なんだかんだでおとうさんとおかあさんはうまくやっとった。


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