あんな。めっちゃ、だいすきです。


ウチが実家住まいならまだ状況もわかったかもしれんけど、実際のふたりのいきさつも詳しくわからんし。


でもって背後に漂う、重たい雰囲気。


耐えきれんくて、ため息をついたあと、ひとこと。



「ちょっと頭冷やしてくる…」



それだけ言って、フラフラと玄関を出て行った。


イライラはおさまってきとったんやけど、どなってしまった手前、余計にきまずいっていうか。


ほんまカルシウム不足やな。おやつににぼしとか食べよう…。



マンションの下に降りてきて、しばらく歩いた時やった。


後ろからぱたぱたぱた、て足音がして。


振り返ったのと、腕つかまれたんは同時やった。



「いっちゃん……」

「いきなり出てくなや。もう暗いし、危ないやん」


「…………」

「…っていうか、ふたりっきりで何話せ〜ゆうねん」



おとうさんと、いっちゃんと。


…それもそうやんな。


ふたりで正座して向かい合ってるおとうさんといっちゃんを想像したら、なんか笑えてきてしまった。


ちょっと力が抜ける。


ははは、ははは。少し続けて笑って。



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