あんな。めっちゃ、だいすきです。



30分くらいしていっちゃんとマンションに帰ったとき、ドアを開けたら出て行った時のまんまの姿でおとうさんが正座して待ってた。


…足しびれんかったん、それ。


不安気に顔を上げるおとうさん。


今にも、申し訳ございません切腹いたします煮るなり焼くなり好きにしてください、とでも言いだしそうな表情。



「…おとうさん」



その不安気な瞳に、ウチがかかげた白い袋がうつる。


コンビニの、ナイロン袋。


さっきいっちゃんと近くのコンビニ、ニコニコマートに寄ってったねん。


中にはほうじ茶と、それと。



「アイス買って来たんやけど、食べる?」

「……えっ」

「いちごとバニラとチョコ、どれがええ?」



おとうさんはぽかーんと口を開けて静止したあと、ものごっつ控え目な口調で言った。



「ほ…ほな、いちご…」

「あかんー!いちごはウチのやしっ!!」



ニカって笑って冗談っぽく言い返したら、おとうさんの顔にもやっと小さな笑顔が広がった。



< 178 / 389 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop