あんな。めっちゃ、だいすきです。


今日初めて見た、おとうさんの笑った顔。


おとうさんは申し訳なさそうに、でも嬉しそうに、カップアイスを受け取った。



ごめんな。ありがとうな。



小さい声でそう言って。


…おとうさん。ウチこそまくしたてて、ちゃんと話も聞こうとせんで、ごめんね。









「ほんまに悪かったと思っとる」



それからやっと、ちゃんとおとうさんと話をした。


いっちゃんは気を利かせてちょっとバイクで走ってくるわ〜って出てくれて。



「仕事も、職安に通って探してた。でもなかなか、この不景気やし、年も年やし…」



しゅんと肩を落とすおとうさんは、ほんまに疲れきってるように見えた。


…ほんまやったら、娘にこんなこと相談したくないし、頼りたないやろな。


そんでもウチしかおらんくて、おとうさんも必死やったんやと思う。



「っていうか1回しか下宿先来たことないのに、よー覚えとったね」

「いや…あの、駅にはお昼についとってんけど…」

「…………」



…もしかして、約6時間くらい迷ってたってことですか。



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