あんな。めっちゃ、だいすきです。


目ぇつむるけど、しばらくしてもなかなか眠気はやってこん。


寝れへん…。


羊でも数えよかな。羊がいっぴきー、羊がにひきー、羊が…あ、もうすでにめんどくさい。


ごろんと寝返りをうつ。



「…………」



そしたら、いっちゃんもちょうどこっちに寝返りしてて、目が合った。



ベットの上と、下で。



…いっちゃんも、起きてたんや。



なんにも言わんまま、目ぇ合わせたまま、いっちゃんに手を伸ばす。


手の先が、触れて。


ぎゅっと、その手を握った。


…いっちゃんもすぐに、握り返してくれた。



やっぱりいっちゃんの手のひらは燃えとるみたいに熱くって。

たぶんウチの5倍くらいの血管が指先まで張り巡らされとんねん、て思う。


5倍のいっちゃんはウチのカイロやけど、5分の1のウチはいっちゃんのアイスノンやから。

夏にはなかなか有効やで。



のそっと、いっちゃんが体を起こすのがわかった。


暗闇の中の、真ん丸いふたつの目玉が近づいてくる。



──ふわり、



触れたくちびるは、ほんまにかするぐらいで、一瞬で。




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