あんな。めっちゃ、だいすきです。


「…いっちゃん、相変わらず絵へたくそやなぁ。」

「………」

「メロンかと思た」

「…うるさいなぁ」



起きてるやん、いっちゃん。


ベッドのふちにしゃがみこんで、いっちゃんの顔をのぞき見る。



「…見に行きたいな」

「…………試合?」

「うん」

「…あかん。なんか恥ずかしいやん」

「え〜だってもう卒業したら見れる機会ないやんか」



学生時代にしかできんことはやっとかなね、いっちゃん!!


いっちゃんはちょっと間を開けてから、枕に顔をつっこんだまま言った。



「…じゃああのカレンダーの、何に見える?」

「どっからどう見ても野球ボールにしか見えません」

「よっしゃ。来てええよ」


いっちゃんがそう言うてくれたから、まねっこ。

自分の手帳にまんまるいのをひとつ、書いておいた。


…うん、ちゃんと野球ボールに見えるわ。



いっちゃんの試合見に行けるの、初めてや。


彼氏の応援に行くとか、彼女っぽい。


1年以上経っとって今さらやけど。



なんかちょっと…なんかめっちゃ、楽しみ。



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