あんな。めっちゃ、だいすきです。
おかあさんがまだおばあちゃんちにおるかも、はっきりわからへんのやけど。
心構えができたかできてないかもよーわからんうち。
あっという間に、ウチらを乗せた車は幼い頃からすっかり見慣れた風景の中に馴染んとった。
おばあちゃんちの近くに車を停めて、ウチとおとうさんだけ降りる。
いっちゃんは車ん中で待ってるって。
「もしみとものおかあさんおって、長くなりそうやっても全然ええからな」
「…うん。ありがとう」
いっちゃんに告げると、ずっしり影を背負ってとぼとぼと歩いて行くおとうさんの背中を追いかけた。
おばあちゃんちはまさに純日本の一軒家!ってかんじの家や。
庭もあるし、ちゃんと手入れされた木も植えられてる。
住宅街の中やから、周りはほんま静か。
おかあさんと、ちゃんと話できますよーに。
…っていうか、おかあさんがまだここにいますように。
緊張しながら、人差し指を伸ばしチャイムを押す。