あんな。めっちゃ、だいすきです。
おばあちゃんまでかくまうみたいにして、そんなに会わせたくないん?
…そんなに会いたくないの?
ウチが必死でドア叩いたりピンポン連打しとるのに、おとうさんは何もせぇへん。
深刻そうな顔で隣につっ立ったまま。
「もう!!おとうさんもなんでぼーっと立っとるんよ!?」
「…みとも……」
「ちょっと!おばあちゃん!?おばあちゃんてばっ、開け………っ!?」
──ゴン、て。
もっかい叩こうとして、手が空振った。
「───────」
ドアは、開いてて。
ドアを、開けたのは。
「…おかー、さん……」
目の前におったのは、おかあさんやった。
思わず息を呑む。
だっておかあさんは、いつものイキイキした笑顔やなかった。
…おかあさんの顔には、表情がなかった。
固まってしもたウチとおとうさんに、おかあさんが一歩下がって言う。
足元に広がった玄関の空気は、なんだかとってもひんやりしとった。
「…おとうさん、みとも。…中、入って」