あんな。めっちゃ、だいすきです。


「………おかー、さん…」

「──ごめんなさい」



「………………え?」




突然謝られて、呆然としてしまった。


おかあさんは、そのままガッと頭を下げる。


え?な、なんで……?



いきなりのおかあさんの行動がわからんくて、なんも言えへんまま。


おとうさんもウチと全く同じ顔でおかあさんを見つめてる。



「え…え?な、なにおかーさん…、」

「ごめん」

「……おか、」

「ごめんな……」




ごめん、ごめん、ごめん ───




おかあさんは、ひたすら畳におでこをこすりつけるみたいにして謝った。



…ほんま、びっくりして。



わけわからんくて。



だっておかあさん、怒ってたんやないん?


なんでそんな謝ってんの。



「べ…べつに、連絡とれんかったこととかなら、ええよ?…ほらあの、ちょっと困ったけどさぁ、おとうさんと一緒に住むん、楽しかったし。やから───」

「───やねん」



ちっちゃい声で。



ものごっつちっちゃい声で。




おかあさんが何かを言ったのが、聞こえた。




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