あんな。めっちゃ、だいすきです。
「…………え?」
「おかあさんな、」
声は、めっちゃちっちゃくて。
めっちゃ、震えてて。
「おかあさん……ガンやねん」
───時間が、止まった気がした。
時間が。
空気が。
息、が。
なにを。
なにを…言うてんの。なに。
なんて言うたん?今。
今、なんて─────?
「お…………、」
おかあさん。
って言おうとしたけど、言葉にならんかった。
喉の奥が震える。
「ガンで、しかも、初期の段階じゃないんやて。」
なぁ、ほんま何を言うてんの、おかあさん。
「ずっとなんか具合悪いな〜とか思ってたんやけどなぁ。まさか」
おかあさん、ウソやん。
なんでちょっと笑ってんの。
…なんでそんな、怖い笑い方してんの。
「どんどんこっからボロボロになるねんで。見た目も、中身も。…なぁ、おかあさんなぁ、」
わけわからん。
意味わからん意味わからん。なにそれ。
…なにそれ。
「…もう死んでしもた方がええんかもしれんわぁ」