あんな。めっちゃ、だいすきです。




外に出た瞬間、その場にしゃがみこんだ。



…足に力が入らへん。



涙がアホみたいに次から次からわいて、顔中をびしゃびしゃにして。



うまく息ができへん。


どうしよう。

どうしよう、どうやって息吸うてたっけ。



…苦しい。



苦しい、くるしい、



どうしよう、だれか───




「〜〜みとも!!」




ぼやけた視界の中に、誰かがこっちに向かって走ってくるのが見えた。



───いっちゃん。



心の中で呼んだけど、声にならへんくて。


息を切らしたいっちゃんがすぐ目の前にしゃがみこんで。



「みとも…っ、どした───!?」

「いっ……ちゃ、おかあさん、が………、」



いっちゃんの手のひらが、ほっぺたを拭う。


かわいた手のひら。


じゅん、と涙をすいとって、でもまた新しいのが、どんどん落ちてもて。




「ガン…、やって……」

「……………!!」

「…は、発見もちょっと遅いやつ、そんで、やから………っ、」





───助からへんかも、しれへん。





そう言うた瞬間、いっちゃんに抱きこまれた。



< 242 / 389 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop