あんな。めっちゃ、だいすきです。


「…おとうさん、みともにまで心配されとるやん。何もできへんのに、おかあさん帰ってこんかったら死んでまうって言われとったでな」

「…………」

「…ほんま、昔っから全然頼りにならんし、いざという時はもっと頼りにならんし」

「………すまん」

「ほら、また謝る。…そうやって謝って、謝り続けて…、」

「………………」

「〜っ、アンタは謝るしかできることないわけ?」

「…………………」

「自分の面倒も見きれんくなるのに…っ、もうアンタの面倒までよー見きらんわ…!!」

「…………ごめんな」

「〜やから────っ!!」

「うん、でも…ごめん。ほんまに、悪いと思っとるから…」

「………………、」

「ごめんな。」



おとうさんは、真っすぐおかあさんに向かい合って、頭を下げた。



おとうさんのごめんな、は、いつもとはちゃう。



…ハッキリした、しっかり形を持った、ことばやった。




「……………っ、ごめん…」



くしゃっと、顔にかかった髪をかきあげるおかあさん。



「こんなん…ただの、八つ当たりや……」



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