あんな。めっちゃ、だいすきです。



そう言ったおかあさんの声は、ちょっと笑ってて、でも震えてた。



おかあさんは笑いながら、怒りながら…




…泣いてた。





「…別れてほしい」





おかあさんの唇が動いて、たしかにそう呟いた。




瞳を大きく見開く。



喉と、胸と、おなかと。



全部がぎゅうって、絞られたみたいに感じて。




「もう、おとうさんと一緒におれへん。…離婚してほしい」




───りこん。




何度も何度も。

めっちゃ低い音になって、頭ん中を打つ。


喉のおくが震える。



…あかんよ。



あかんよ。

そんなんあかん、おかあさん。



おかあさんが、家からおらんくなるなんて。


おとうさんとおかあさんが別れるなんて、そんなん。



そんなん─────、





「―――――イヤや。」





…ずっと黙ってたおとうさんが、顔を上げた。




「そんなん嫌やわっ!!アホかっ!!」

「…………な、」

「〜あんなぁっ!!俺は、お前と添い遂げるって決めたから結婚してん!!」

「……………っ、」



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