あんな。めっちゃ、だいすきです。



…ほっぺたが、震える。



空気を揺らして伝わってくる、おとうさんのことば。



あったかくて、おっきくて、やさしくて、




…好きやって。





おかあさんのこと、大好きやって、そう言うてる。





「…おかあさん」

「…………っ、」

「─────智華。」





ねぇ、おかあさん。



おとうさんがおかあさんの名前呼んでるの、聞こえてる?



おとうさんのことば、届いとる?




おとうさんが、両手で、おかあさんの手を握る。



一回おかあさんの顔を見て。




それから、大きく頭を下げた。












「僕ともう一度、結婚してください。」












…涙でびちょびちょになって、前が見えへん。



前も、横も、上も。



やから、捜すように、なくさないように。


いっちゃんの手を、必死で握った。




同じように返ってくる力。


ウチのとなりにおってくれる力。




…ウチのよりも、もっと強く握ってくれる、いっちゃんのちから。



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