あんな。めっちゃ、だいすきです。



…たった、一週間。



おとうさんがおったのはそれだけやのに、戻って来たふたりっきりの生活の方が、非日常みたいに感じる。




「…いっちゃん。今日はありがとう」



いっちゃんの手を、少し強くひっぱった。


いっちゃんの目がこっちを向く。



「ほんまはな…おかあさん。もっとめっちゃ、元気な人やねん。」



…彼氏も連れてきぃ。



そう言われたときは連れていかんかったけど、やっぱりあの時、いっちゃん紹介しとけばよかったな。



今日はそれどころやなかったし、いっちゃんも気ぃ使ってすぐに車に戻って待っとってくれたから。



「おもしろいし、子どもみたいなとこあってな。高校ん時なんか、受験勉強しとる娘ジャマしてって、スキンシップターイム!とか言ってじゃれてったり」

「ははっ…、そうなんや。面白いんやな、みとものお母さん」

「うん……」



おかあさんはいっつも元気で、強くって。



…やから、初めて見た。



笑顔がない、おかあさんなんて。



…あんなに落ち込んで、弱音吐いてるおかあさんなんて。



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