あんな。めっちゃ、だいすきです。
…痛いし、いっちゃん。
けど元高校球児のいっちゃんが本気出したら、痛いなんてもんやないやろうけど。
…なぁ、いっちゃん。
呼びかけたら、ん?って。
いっちゃんが振り返る。
優しい顔。
口の中で消えかけた言葉も、ちゃんと形になってすべり出る。
「いっちゃんは…ウチが、どんなんになっても好きでおってくれる?」
「うん」
「…眉毛、なくなっても?」
「…当たり前やん。」
いっちゃんは笑って、ウチの眉毛をなぞる。
みぎ、ひだり。
内っかわから、外っかわに。
夜の風がほおをなでる。
すぐ隣の、いっちゃんのことばを耳に運ぶ。
「……めちゃめちゃ、好きでおるよ。」
その夜は、久しぶりにふたりでベッドで眠った。
ただ抱き合って、ぎゅーって抱き合って、
…いっちゃんの腕の中で、眠った。