あんな。めっちゃ、だいすきです。



さっそくお昼ご飯を食べに向かったのは、街のカレー屋さん。



一回だけ連れて行ってもらったことある。


いっちゃんの、バイト先や。



いっちゃんは今日もうバイトのシフトが入ってもとって、ただでさえ人手不足やから代わってもらうこととかできんくて。


でもそのかわり、


「みとものお母さんと一緒に昼ご飯食べに来てんか。」


…って言うてくれてん。


─おれも、みとものお母さんにちゃんと会いたいし。って。




「あそこがいっちゃんのバイト先やで」



そう言うて指さしたら、おかあさんがいきなりすーはーすーはー深呼吸しだした。



「なんやめっちゃ緊張するわぁ〜。化粧はげてない?大丈夫?」

「大丈夫大丈夫」

「あーもーなんて言うんこれ?生まれたての子鹿な気分?足めっちゃ震えるもん」



がくがくぶるぶる。


おかあさんが無意味に足をガニマタにしたりウチマタにしたりしとるあいだに、いつのまにかもう目の前にせまっとった自動ドアが開いた。



「いらっしゃいませー!!」



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