あんな。めっちゃ、だいすきです。



…いや、なんで舌打ちしたん。おかあさん。



「絶っ対みともだまされてるわ〜……」



…どんだけ娘を被害者にしたいねん。




理不尽な怒りの矛先を向けられつつも、口に運んだカレーはほんまおいしくて。


さすがカレー屋さん。


スーパーで安売りしとる固形ルーとは一味も二味もちゃうなぁ。


それに、めっちゃ久しぶりや。カレーとか食べんの。


いっちゃんがカレー屋さんバイトやから、ウチがカレーを夕食に出すことはほとんどないねん。



…こっそり、おかあさんの向こうにおるいっちゃんをのぞき見る。


手際良く動くいっちゃん。


家ではあんなテキパキしたいっちゃん見ぃひんから、ちょっと新鮮で。



なんかちょっと、なぁ。


仕事できる男!みたいで、かっこええやんか。いっちゃん。



「…おとうさんから、話は聞いとったけど」



もぐもぐ、ひたすらカレーと格闘してたおかあさんがやっと口を開く。



「いっちゃんと…同棲、しとるんやってな。」

「……………」



…きました、この話題。



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