あんな。めっちゃ、だいすきです。
スプーンにこれでもか!!って山盛りすくって、おっきい口で大歓迎。
クリームがしゅわーって溶けて、この瞬間。
あー、女の子でよかったぁ。って気持ちになる。
「一口交換しよ!みとも」
ずいって。
目の前につきだされたスプーン。
…っていうかもう、くちびるにくっついてるで。
ウチもおいしそうなとこすくって、おかあさんのくちびるにくっつける。
おかあさんは食べた瞬間めちゃめちゃ幸せそうな顔して、かと思たらすぐに難しい顔んなった。
「…うわ、しまった。みとものがおいしい」
「そう?」
「え?みとも、替えっこする?」
「え」
「替えたいやろ?な、替えたいやろ?しゃーないなぁー!」
おかあさんの手が、笑顔の下で勝手にお皿のトレードを始めてる。
替えたいやろ?って、おかあさん。
…それ提案やなくて、ほとんど命令ですよね?
まぁ、ええか。
幸せそうにケーキほおばるおかあさんを見て、そう思った。
そう言えば、おかあさんとこんな風に街でランチしたり、お茶したり、かいものしたりしたの…初めてやったな。
はじめてのこと、ばっかりやったな。
おかあさんて、こんなひとやったんやなぁ…。