あんな。めっちゃ、だいすきです。
おとうさんがこっちに来てた1週間。
それを短いって感じたくらいやもんな。
…1日なんて、ほんまあっと言う間やった。
駅に向かうために、地下に降りるエスカレーターに乗る。
おかあさんの腕には荷物がいっぱいぶらさがってて、エスカレーターの入り口にやっとおさまる横幅。
1番外側の紙袋が、エスカレーターの壁にすれてきゅーきゅーゆうてる。
おかあさんとウチの身長は一緒くらいなんやけど、ウチより1段下におるおかあさんの頭はちょうど目の先にあって。
…おかあさんのつむじが見下ろせるとか、珍しい経験や。
ちょうど真ん中より、ちょっとだけ左にずれたつむじ。
そこから円を描くように、きれいにうずまきになって生え伸びる髪。
……あ。
─ふと、そこにキラっと光るものを見つけて。
あっ、て。ちょっと、びっくりした。
…おかあさん、白髪、あったんや。
いっつも元気いっぱいで、子供が大学生ってゆうたら信じられへん!て言われるくらい、若く見られるから。
一緒にプリクラなんか撮った日には、姉妹?って聞かれるくらいやから。